葉桜の頃

入学式

 投稿者:真美  投稿日:2012年 4月 5日(木)16時00分13秒
編集済
 

「おはようございます

「おはようございます」

口々に声を掛けながら・・美智子たちは会場に入って行きました。

本館はただ今改装中なので今年の新入生は市民会館での入学式です。

美智子が入ってゆくと大げさな札がいすに張ってあます。

「39期生 吉田美智子42番」

美智子は緊張しながら・・「とうとう 私も大学生になったのだわ!

つぶやきながら・・。

まだ空席の隣の席を見ると・・高橋智雄43番と札が張ってありました。

しばらくすると・・かすかな香ばしい匂いとともに、 男の人がどっかりと隣の席に座りました。

「高橋といいます」

含みのある落ち着いた声で挨拶をしました。

美智子はなぜかどきまきしながら・・ぺこりと頭を下げ

「吉田美智子です!よろしくお願いいたします」

「あ〜   こちらこそ よろしく!」


やがて壇上では式次第が粛々と進み大学の成り立ちや、心得などが話され校歌が流され

無事に終わりそれぞれの教室に案内されました。

教室までの迷路のような廊下を並んで歩きながら、高橋は話し掛けてきた。

「ところで貴方は何のクラブに入るつもりですか?」

「はい  私はダンスクラブに入ろうかと思ってます」

「おぅ それは偶然でね!私もダンスクラブに入るつもりですよ」

「あ そうですか!!」

美智子は、背の高い高橋を見上げながら、迷い迷い入ったこの大学ではあるが、

心が一気に弾むの覚えました


家に帰ると まずはお父様の仏壇にお線香をあげ・・

「楽しい学生生活が送れそうですよ」と報告したのでした。

夜になると・・ひとりお祝いのワインを飲みながら・・

大学生としての心得が書かれたしおりを見ていると、なぜか心が弾み高橋の

素敵な容貌を思い浮かべてたりしてるのです。

「おのワイン!意外ときついのね!」

照れて独り言を言いながらも・・

恋人はいるかしら?  いえいえ それより奥様お元気かしら?

美智子の世にも奇妙(これがヒント)で素敵な学生生活はこうして始まったのです。

さてさて どんな大学生活でしょうね・・ うふふ 半分実話です

後は美智子や高橋になって考えてくださいね。

リレー

 投稿者:ロクちゃん  投稿日:2012年 4月 5日(木)16時28分1秒
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   美智子はダンスクラブに入ると言ったものの、ようやくステップを
覚えたばかりで、曲に乗って流れるようには踊れなかった。
「まだ私始めたばかりで、初心者ですの」
 顔が赤らむのを覚えながらも素直に打ち明けた。
「いやぁ、それを聞いて安心しましたよ、実は僕もそうなんですよ」
 智雄の明るいあっけらかんとした物言いに、逢ったばかりなのに
好意を寄せている自分に美智子は戸惑った。

うふふ  リレー

 投稿者:真美  投稿日:2012年 4月 5日(木)18時35分58秒
  通報 編集済
  この大学は変則でして 毎週木曜日が登校日です。(ココがミソですからね)

朝八時半登校して

ホームルーム
10時から講演
11時からクラブ活動
これで一単位となります。

「皆さん おはようございます
本日は初日でもあり
クラス委員長を選び
研修旅行の予定をお話します。」

担当の人が来ててきぱきと議事が進みます

役員が決まり、班が決まり、 最初の登校日は無事に終わりました。

美智子は小走りに駅のほうに歩いてゆくと・・智雄が追いかけるように近づきた。

「美智子さんはどの方向に帰りすか?」

「私は電車で一区間の美山町ですの」

「あ〜 それなら同じ方向ですから・・僕の車で行きましょうよ」

さばさばというと もう勝手に決めて自分の車のほうに美智子を案内した。

美智子は周りの目を気にして、もじもじしてると・・智雄はあははと笑いながら

近くの同じ学生を手招きして

「美山町方面の人乗ってゆきませんか?僕の車は6人乗りですからあと4人

乗れますよ」

美智子はもじもじしていた自分の気持ちが恥ずかしくて!黙って車に乗せて

もらいました

帰るとまたお父さんに報告です。

「私って!馬鹿みたいよね〜」

電話

 投稿者:真美  投稿日:2012年 4月 8日(日)09時52分13秒
  真夜中に電話がなった

「いや〜  夜分すみません!」

出張でしばらく滞在して居たが・・

明日帰るので思い切って電話したのだという!

酔いに任せてかけてきた電話に私の胸は高鳴った!

男の方から懐かしい!なんて!そんな電話をもらうのは何十年ぶりだろう。

声の響きから、あの人この人 私の人生を通り過ぎた人の顔を思い浮かべていた。


あれこれと当たり障りのない会話をしながら、思い切って

「山田さんは今どちらでお暮らしですか?」と名前を言ってみた。

「いや〜 やっと判ったようですね。 そうそう その山田です」

「あら〜  山田君!一気に距離がちじまった。

高校生時代!私のフアンだと言いふらして、後を付回していた同級生の

山田だったんだ!

私は 急に緊張がほぐれて・・あれやこれや自分の今の状況を話し込んだ。

「はぁ〜 はぁ〜 そうですか〜  」

山田は急にテンションが落ちて・・

「それでは・・・」

私は懐かしさのあまりと同級生の山田君という気安さで話しすぎたことに

後悔したとき!

「すみません!どうも間違って電話したみたいです」

「あら 間違って無いわ山田君でしょう?」

「はぁ〜 僕ー山田ですが・・あなたは誰ですか?」

「えっ 私 吉田です」

「すみません 間違い電話をかけたみたいです。」

ぷつんと電話が切れた!


 

(無題)

 投稿者:ロクちゃん  投稿日:2012年 4月 9日(月)14時36分21秒
   美智子はしばらく切れた電話を置くことが出来なかった、それどころか

時間が経つほど鼓動が収まらずに困っていた。

「あ〜あまたやちゃたわ」

 美智子は思い込みが強く、何事に対しても直情的で今までに何度こん

な失敗を繰り返しただろうか、相手が智雄で無くて良かったがもし智雄

を誰かと間違って、ペラペラ気安く話しかけたらと思うと再び鼓動は強

く打ち出した。

 それぐらい美智子の中に大きな存在として智雄の占める部分が増えて

いた、それでも時間が過ぎると落ち着いてきたので電話を置くと、それ

を待っていたように呼び出し音が美智子の心臓を叩いた。

 思わず、きゃぁっと声が出そうになった、しかし自分を落ち着かせる

ように一つ深呼吸してから、

「もしもし、吉田ですが」

 落ち着こうとしてゆっくり話したが、声は完全に裏返っていた。




はい  吉田です
 

電話2

 投稿者:真美  投稿日:2012年 4月10日(火)11時26分55秒
編集済
  美智子が名前を名乗ると・・しばらく電話機の向こうで躊躇する気配がした。

「あの〜 どちらさまでしょうか?」

先ほどの失敗をしまいと美智子は緊張しながら、話しかけた!

「あっ 失礼! 僕  高橋です 高橋智雄です。 夜分 失礼しました」

あ〜 やっぱりと 美智子は予感の的中に また また 胸が高鳴った!

その気持ちに覆いかぶせる智雄の言葉が続いた。

その言葉は美智子の新しい生活の第一歩となり はたまた奇しき人生の始まりとも

なりました。

美智子は また 仏壇の前にすわり お線香を焚き

「お父さん!大好きだけど・・ もうこの世にはいないんだもね!」

胸の内の動揺を隠しながら 仏壇にそっと祈った!

そして布団に入っては見たものの・・朝まで眠れない夜をすごしました。

若くなりたいわ!!



電話2の後

 投稿者:ロクちゃん  投稿日:2012年 4月12日(木)10時56分36秒
    寝付けぬままに何度も寝返りを繰り返していた。

 お父さんと智雄が何やら話し込んでいた、美智子は不思議なものを見る

思いで眺めていた、何を話しているのか判らないが二人は身振り手振りも

大きく話し込んでいたが、やがて話がついたのか智雄が笑顔で近づいて来

る、お父さんは背中を向けてどんどん遠ざかって行った。

 美智子は、お父さん!と声をかけたが振り向きもせず、代わりに智雄が

社交ダンスの申し込みをしてきた、背筋を伸ばし右手を軽く上げた姿勢で

待っている、お父さんも気になったがいつまでも智雄を待たせるわけにも

いかず、智雄の右手に手を添えると美智子の背中に優しく手が回されるの

と同時に曲に合わせてステップを踏んでいた。

 何の音だか判らない、多分窓を鳴らした風であろう、寝付かれぬうちに

も浅い眠りで夢を見て居たようである、しかし美智子の手のひらに智雄の

感触が残されていた。

 若返らなくても、今のまゝでも幸せなような気分が味わえるならそれで

も良いよな気がした、どうせ過去には誰も戻れないのだから。
 

研修旅行

 投稿者:ロクちゃん  投稿日:2012年 4月13日(金)17時13分44秒
  どこかに淡い期待があって眠りに就いたのだが、気持ちが吹っ切れていた

所為か夢を見ることもなく、爽快な朝の目覚めに大きく伸びをして美智子

は起き上がると、布団の周りを一人でステップ踏みながら音楽を口ずさんで

踊っていた。

 二回りもした頃ターンをした時仏壇が目に留まった、夫の遺影が苦笑いし

ているように見えた。思わず美智子も舌を小さく出して首をすくめて笑った

美智子は気づかなかったが、その表情は娘時代そのままの可愛らしさであった。

 昨日登校したのに、もう次の登校日が待ち遠しいくてたまらない自分に驚い

ていた、大学で誰彼となくいろんなおしゃべりや、研修旅行の事を考えるだけ

で「ワクワク」する気持ちは抑えがたいく、生活の張りが一層美智子を輝かせ

近所の同年輩より、はるかに若く見られていた。

 研修旅行に行くとなれば、やはり何か新しい洋服が欲しくなった。
 

お出かけ

 投稿者:真美  投稿日:2012年 4月13日(金)17時44分33秒
編集済
  老舗の「勉強屋」のチラシが玄関に投げ込まれた。

高級品で美智子など到底手の出ない洋服が70パーセント引きとあって

早速!買出しに出かけた。

いそいそと出かける美智子に近所の人の冷たい目が追いかける。

特にお隣りの山田さんの奥さんは病弱も手伝ってか・・どんどん 若々しくなってゆく

美智子に厳しい!!

「あら  お出かけですか〜 最近お美しくなって! 何かいい事でもーあるのかしら?」

そんないやみを美智子の背の投げかけてくる。

「ところでご主人の3年忌もそろそろですわね〜」

あまり取り合わない美智子にわざわざそんな話題を浴びせてくる。

「いやなやつだわ!」

買い物の帰りにお友達の良子を呼び出し愚痴のひとつも言ったりした。

「でもね 人の口にとわ立てないから お気をお使い遊ばせ

相変わらず良子は気取ってものを言う!

「はい はい 」

美智子は買った服や研修旅行の事ばかり考えて 良子の最後の言葉を聞き逃して

仕舞った!





 
 

連絡網

 投稿者:ロクちゃん  投稿日:2012年 4月14日(土)16時43分59秒
   良子と別れて家で夕飯の支度をしている時に電話が鳴った、心辺りの無い

時間帯でもあり不安な気持ちがあったが、今の美智子には怖いもの無しであ

る、軽く咳払いをしてからおもむろに受話器を耳に。

「もしもし、吉岡ですが」

 慎重に答えると、その耳に聞き覚えのある甲高い声で。

「私、歌子、数山歌子よ、あのさぁ大学の連絡網でさぁ、あれなのよう」

 実に要領を得ない話し方である、つまり要約すると、研修旅行の部屋割り

とか、バスの席順などの腹案を今度の登校日までに用意して下さい、そんな

内容であった、確かに当日いきなり議題にしてもすぐには答えが出せないの

は目に見えていた。

 美智子は部屋割りはともかくバスの席なんか自由でいいんじゃないかと思

っていた。

思惑

 投稿者:真美  投稿日:2012年 4月16日(月)16時01分50秒
編集済
  歌子がわざわざ大したことでもないのに・・バスの席順や部屋割りにかこつけて

電話をしてきたのには訳があったのです。

21歳のとき親の勧めで結婚し、お堅い公務員の妻となった美智子はまったくの

箱入り奥様でした。

3年前、夫が突然亡くなったときは、右も左もわからず、子供も居ない

毎日はノイローゼになったように暮らしておりました。

そんな美智子にこの寿大学を進めてくれたのが電話をくれた歌子でした。

歌子は美智子の高校時代の同級生で、お人よしですが何かと詮索好きで、

高校時代から美智子に対してライバル意識が強く、このたびも・・・

楽しそうにどんどん若くなる美智子に詮索の手を出したのでした。

「美智子さん 怪しいですよね。 あのイケメンの智雄さんを見る目が

潤んでるわよ」

うわさ付きの友達に煽られ・・チェックのための電話でした。


「そうね〜 バスのお隣が気の合う人なら 研修旅行も もっと楽しいわね〜」

歌子の気持ちも知らず・・美智子は隣の席に智雄を夢みて・・うっとりと

するのでしたが、智雄について何も知らない事など意にも介してない美智子の

その後が心配です。 さてさてイケメン智雄はどんな素性の人なのでしょう!




智雄

 投稿者:ロクちゃん  投稿日:2012年 4月18日(水)15時21分17秒
  旅行当日バスの席順は、美智子の提案どおり教室の並びで座る事になった。

二、三反対意見もあったが、美智子の提案以外にこれと言った案もなく賛成

多数で決まった。

 歌子の視線が背中に刺さったが美智子は気にもしなかった、車中ではそれ

ぞれが世間のしがらみから解放された様に、隣同士で夢中になって喋ってい

た、一応ガイドが乗ってはいたが誰もガイドの話など聞いてはいなかった。

 当然美智子も智雄と話し込み一段とその顔は輝いていたが有る言葉をきっか

けに、真剣な顔つきになりすっかり聞き役になった。

「実は僕はご主人の後輩なんです」

「えっ 」

 美智子は突然の事で言葉はおろか、車中の騒ぎさえ別世界の様に感じてい

た、何かを喋らなくてはと思っても何を話すべきか思い浮かばなかった。

「どうやら驚かせ過ぎたようですね、今度落ち着いてから話しますよ」

 智雄も困惑していた、そんな時に歌子の甲高い声が後ろの席から届いた。

「こら!そこの二人怪しいぞ」

 その声に車中は、どっと沸いた、寿大学では知らない者のいない二人である

美智子はやましい事が無いので別に気にもかけてはいなかった。

「まだ怪しくないです、これからです」

 智雄が中腰で後ろを向いてそう言うと、女性たちは若い娘のような嬌声を

あげて笑いこけていた。

 智雄の気転に満更でもない笑顔の美智子も幾分落ち着きを取り戻していた、

そしてその話にはお互い避けて研修旅行は終わった。
 

もうひとつの恋

 投稿者:真美  投稿日:2012年 4月18日(水)17時03分26秒
編集済
  さわやかで陽気な智雄と女学生のような美智子はみんなの冷やかしの対象には

成ったけど!二人の持ち味のよさが攻撃の対象にはならなかった。

よるの宴会ではお決まりのカラオケ大会となり、歌のからきしだめな美智子は

歌子たちのグループにいた!智雄は委員長の田原さんに捕まった飲んでいた。

舞台では今しも秋ちゃんと槌田さんのデュエットが始まった!

ふたりの大阪〜  よった槌田さんが秋ちゃんの肩を抱いてる!

よ〜っ ご両人!! やんややんやの掛け声に歌子は美智子の耳にささやいた!

「あのふたり 出来てるらしいわよ」

「えっ 出来てるって! 何が?・」

うぶな美智子が怪訝な顔で言うと・・しぃっ 声が高い!!

歌子は美智子の耳にこっそりという!

「ほら 槌田さんいい男じゃない!それにカラオケのインストラクターの資格も

持っていて!お秋さん習ってるらしいのよ、 2班の君子さんや弘子さんも習ってる

らしくて・・先日 お秋さんが 槌田さんから来たメール見せてくれたんだって!

そのメールにハートマークが付いていたんだって!!」

「でも〜 ???それって!!槌田さんふざけてつけたんじゃないかしら?」

純情な美智子はあくまで女学生気分だ!

「まったく 子供なんだから・・貴方も智雄さんにはお気をつけ遊ばせ!

あの人はどうも素性が知れないって!皆さんいってるわよ」

言い残して席を立ってゆく歌子に美智子はすこし気落ちして 外へ出てみた。

外には北国の春の柔らかい風の向うに澄んだ月がぽっかりと浮かんでいた。

自然と智雄の端正な顔を浮かべて!主人の後輩というからには、大学は立教の

法科だったのかしら???


美智子はそんなことを考えなが、月をぼんやりと眺めていて、暗闇の中の木陰の向うにから

人陰が近づいて来るのに気が付かなかった。








月明かり

 投稿者:ロクちゃん  投稿日:2012年 4月20日(金)16時11分17秒
  「何処に行ったのかと探しましたよ」

 低いが良く通る智雄の声に美智子は包み込まれたような感覚を覚えたが、心

は裏腹に。

「あら、田原さんとご機嫌じゃなかったの」

 自分でも驚くほどの邪険な物言いをしていた、同じ笑顔を田原さんにも見せて

いるのが許し難かった。

「嫌だなぁ、そんなふうに思われちゃ」

 そう言いながらも肩が触れる程近くに並び美智子に構わず言葉を続けた。

「実は会社での後輩なんです、僕は高卒で会社に入りましたから、御主人には

仕事を一から教えていただき本当に助かりました」

 いつしか並んで月を追いかけるように歩いていた、美智子も機嫌を直していつ

までもこの時間が続けばいいと思っていた。

「まぁそうでしたの、そんな話は何も聞いていなかったわ」

 その時元気だった頃の夫の思い出が顔を出しかかったが、美智子は思い出を

陰に押しやって、智雄との時間を大切にしたかった。

 そしていつかは聞かなければと思っていたことを、遂に口にした。

「もしよ、私とこんなふうにしてるところを奥様に見られたら大変じゃなくって」

 しどろもどろではあったが、そんな様な事を聞いた、少しの間が怖かったが、智

雄は一呼吸置いてから。

「三年前に別れたんです、まぁ子供が居なくてごたごたが無い分良かったと言って

はなんですがね」

 心の疵に触れたようで美智子もつらかった。

「ごめんなさい、余計なことを言って」

「良いんですよ、何とも思っていないですから、それよりそろそろ帰らないと

どんな噂が飛び交うか判りませんよ、僕は平気ですがね」

 私もよ、口に出かかったが辛うじて抑えて。

「そうね、帰りましょうか」

 並んで帰る二つの影を旅館の二階の窓から、歌子が見ていることは知らない

智雄と美智子である、そして歌子の瞳が嫉妬に光るのも尚知らなかった。
 

事件

 投稿者:真美  投稿日:2012年 4月23日(月)16時32分40秒
  研修旅行の反省会が次の例会の後に希望者で行われる事になった。

美智子も歌子も参加した。

飲んで唄って踊って男性2000えん女性1500円という北国ならではのカラオケ店に

30人ほど集まった。

美智子は智雄の姿を眼で探していた。

その様子をいち早く見抜いた歌子が美智子の耳元にささやいた。

「みっちゃん 知ってる?」

「何を??」

歌子のただならぬ勢いに押されながら美智子はある予感とともに聞いた。

「知らないんだ〜

智雄さん学校辞めるのよ!」

意地悪そうに言う歌子の言葉に美智子は動揺した。

「どうして? 何かあったの?」

「実はね  研修旅行の日のよる 田原さんが集金して持ったいた研修費用が

ほんの僅かな留守にしていた間になくなったんだってよ」

「そこにあることは智雄さんしか知らないことだから、智雄さんに聞いたらしいのよ


それを智雄さんは疑われたと勘違いして、口論に成ったらしいの、

あんまり向きになる智雄さんに田原さんはかえって 疑いだして!原さんの

部屋を留守にした時間に智雄さんは何処に居たのかと聞いたけど----

智雄さんは言わなかったらしいの! それでさらにクラス中に広まって

智雄さんはやめざるを得なくなったらしいわ」

美智子の長い話が終わると

「それでその時間とは何時頃なの?」

「それが宴会最中の10時頃らしいわ」

あっと 美智子は声を出しそうになりました。

夜 10時頃なら美智子と庭で話し合ってた時間だわ! 美智子は思わず

大きな声を出しそうになった!

でも〜 なぜ智雄はいわ無かったのだろうか?

結末の予感

 投稿者:ロクちゃん  投稿日:2012年 4月24日(火)15時42分52秒
   美智子はなぜその時間自分と一緒に居たことを智雄が言わないのか気になった。

確か噂になっても自分は平気だと言ったのに、美智子にしたところで後ろ指刺さ

れても、何もやましい事は無かった。

 むしろ寿大学の皆の知る仲だったはずなのに、時間は遅かったがそれでどうこ

うと言ったことは事は何も起きてはいない、手さえ握りあってはいないのだから

隠すことは何もないのに、智雄の気が知れなかった。

 黙り込む美智子の顔を覗き込む歌子は勝ち誇ったように。

「田原さんも智雄さんに気があったようよ」

 その言葉には底意地の悪さに満ちていた。

「それくらい知っていたわ、歌子だってその口だもの」

 いくら世間ずれしていないとは言え、美智子にだってそれくらいの見当は

ついていた、そして美智子の思わぬ言葉に歌子はうろたえた様に。

「わっ私は亭主が居るわ、そりゃ智雄さんはステキよ、でもそれだけよ」

 核心に切り込まれてしどろもどろに、次々まくしたてた。

「噂にもなっていたし、美智子が智雄さんとうまく行けばいいなぁと秘か

に応援してたぐらいよ、やっぱり一人じゃぁ寂しいもんね」

 歌子の言い訳をうわの空で聞きながら、今後どうするかそればかりを考え

続けていた、とにかく智雄に逢って真相を聞かなければ、場合によっては皆

の前で犯人でない事を立証しなければならないと思っていた。

「歌子!私帰るから、皆さんには上手いこと言っといてちょうだい」

 何か言いかける歌子を振りほどくようにして、皆に悟られないようカラオ

ケ店を出た、考えれば考える程やり場のない怒りに身体が火照った。


「もしもし、美智子ですけど」

 どこをどお帰ったか定かでないが、帰るなり受話器を握っていた。

「やぁ、美智子さんでしたか、どうしました?」

 何とも憎みようのない明るい声が受話器から届いた、美智子の苛立った心

もいちどきに溶けたが、笑いを噛み殺しながら。

「どうしたじゃぁないでしょ、なぜ学校を辞めるの」

「ああ、そのことですか」

 そこで少し沈黙があり、なにか思案しているようであったが。

「美智子さん、今から逢って貰えますか、電話じゃなんですから」

 それは美智子も望むところであった、智雄とようやく親しくなれそうなの

に、失うことは耐え難く自分でも驚くほどに恋の炎に身を焼かれるのが判っ

た。

 家の前に車が止まり、クラクションが短く鳴らされた。隣の山田さんの

カーテンが揺れて隙間から覗いているのも気付かず、美智子は浮き立つよ

うに鍵をかけて、車に乗った。

「学校を辞めてもお付き合いしていただけますか」

 走り出してからの一言目である、突然の申し込みに戸惑いながら。

「えぇ、私で良ければ、でもあなたより年上よ」

 美智子は小娘の様に恥じらいながら小さな声で言った。

 
 

幸せな時間

 投稿者:真美  投稿日:2012年 4月24日(火)17時42分28秒
編集済
  車はどんどん山道に入り・・とある小さな建物の前に止まった。

驚く美智子の前で智雄はかすかに笑った!


「母に会ってくれますか?」

智雄はそっとドァをあけると・・・

すこし 腰は曲がっているが、まだまだ かくしゃくとしたおばぁさんが

出てきた。

「おかぁさん 以前から話していた、美智子さんです」

どうぞどうぞと促されて美智子は小さな座布団に座らされて!

「あらあら よくいらっしゃいました・・智雄はいつもあばたの事を話して

くれてたのよ」

そういいながら・・まるでいつものようにお茶を入れてくれました。

しばらく歓談しておいとまごいをする頃には、日がとっぷりと暮れておりました。


帰りの道すがら・・智雄は事件の事を話し出しました。

「実は・・あのお金の紛失事件は田原さんの狂言なんです・・

最初は彼女も本当になくなったと思って、大騒ぎしたのですが・・置き場所を

間違えている事に気がつき!しかし今更!ありましたともいえず・僕が

悪者になって!引退する事になったのです。

そもそも 美智子さんへの嫉妬から出た話しですから・・僕の存在にも問題はあり

これからの事を考えると・学校には行かないほうがいいと決心したのでした。

それに何より美智子さんという!素敵な女性にもめぐり合い!もう 寿大学には

興味が無いのです」

「私もやめます!!」

事情を説明する智雄の言葉の終わらないうちに美智子は叫んだ!!

「私もやめます!!」

大きな声で言う美智子の口は智雄の唇にふさがれた。

いつの間にか車は山道の駐車場に止まっていた。


(ロクちゃん!付き合ったくれてありがとう!  この後 上手に完結して
くださいませ・・・お願いいたします)

(ロクちゃんはとても頭の良い方で包容力があり 私の次をちゃんと感じ取ってくださいましたね!私は「葉桜の咲く頃に君を想うという事」という小説を意識して・・読者にはまるで少年少女の恋物語を書いて居るようにみせて・・最後に実は老人の恋物語だとドンデン反しにしたかったのですが・・やはり相手をだますには無理があり途中で種を明かしたのでした!!! これを機会にまた 小説ミステリーなどの新しい作品を作りましょうよ)

(オホーツクはとてもいい季節になりました。ぜひ 遊びに来てくださいませ、)

終わりの始まり

 投稿者:ロクちゃん  投稿日:2012年 4月25日(水)15時01分50秒
   美智子もそれなりの大人であるからある程度は予期していたが、やはり突然

の思いはあったが智雄を失いたくない所為か自分からも激しく求めていた、や

がて静かに唇を離すと。

「あなたは学校を続けてください、友人は多いほど良いですから」

 智雄は説得するような口調で語りかけた。

「そして私とは、付かず離れずの間柄でお付き合い願えますか」

 美智子はとっさに理解できなかったが、智雄は言葉を続けた。

「私もあなたと一緒に暮らしたいけど、人は結婚すると慣れが出てきます、

思い遣りが薄れ、遠慮も無くなり、まただらしなさも出てくるでしょう、そう

なると人としての醜さを曝しだしてしまうのが怖いのです。いつまでもあなた

には良いイメージを持ていて欲しいのです」

 そこまで話してから、美智子の瞳を見つめていた。

「判りますわ」

 確かに智雄の言うことは理解できた、付かず離れずの緊張がお互いの思い遣り

を生み、何時までも新鮮な恋人付き合いで張りのある人生が送れることは確かで

あろう。

「そしてお互いに、全てを許しあえる気持ちになった時にそれから先を考えて

見たらいいのでは」

 理詰めの話に美智子は頷いていた。

「さぁ、帰りましょか」

 いつもの明るい智雄に戻ると、顎をすくう様に持ち上げ音を立てて唇を吸い

エンジンを掛けた。

            完

 (まとめに手こずりましたが、こんなんで良かったでしょうか、真美さんの
文章力がアップしてゆくのがとても良く判りました。あらすじが判っていれば
書き易いと思いましたが、真美さんのストーリーから随分離れたようですね、
お許しください。
 いずれにしても楽しかったです、文章足らずですがお許しを)

ありがとうございました

 投稿者:真美  投稿日:2012年 4月25日(水)17時40分29秒
編集済
  「私もあなたと一緒に暮らしたいけど、人は結婚すると慣れが出てきます、

思い遣りが薄れ、遠慮も無くなり、まただらしなさも出てくるでしょう、そう

なると人としての醜さを曝しだしてしまうのが怖いのです。いつまでもあなた

には良いイメージを持ていて欲しいのです」

 そこまで話してから、美智子の瞳を見つめていた。

「判りますわ」

ロクちゃんの結婚観が出ているような・・思いがけない結末でさすがでしたね。
ところでロクちゃんはお暇のある方ですか???
もしこのお話を膨らましたり手直ししたりして編集していただくとありがたいのですが??
いかがでしょうか??? 貴方のぺーじと私のページに上げることが出来たら嬉しく思います。
また 別々の考えでそれぞれ編集しなおしても面白いかもね--
ロクちゃんの作品を読んでおりますと、なみなみ成らぬ感覚の持ち主と尊敬しております。
ひと肌脱いでくださいませ。
一番最初に出来た「麦畑」は編集なしで・・岡山から東京の方まで参加してくださり。
実はメールで陰で調整しながら進めました、そのためとても仲良くなり何でもお会いしましたよ。今年の一月も品川で男の方と女性の方3人で会いました。
「深い夜」は最後に私が編集しました。
メールの恋は実話です・・そろそろ完結します。
まだ ネットに上げてない「帰ってきた人」は私の息子が突然東京で事故のあい死んでしまった辛さを「帰ってきてほしい」という願いで書き出したところ・・神戸の方がリレーしてくれて辛さを紛らわせる事が出来ました! さくらさんといって!美容師の方でした。最近ぜひコミュケーション取りたいと思いましたが連絡方法が無くなって残念です。息子の悲しみが薄くなりましたら編集してネットに上げます

さて この物語も編集したらなんとか読み物になるでしょうか?

ロクチャンにお願いできないでしょうか?

そして貴方のページと私のページにあげれるといいな!!と欲張ってます。
 

http://www.mami323.com/

 

編集にあたり

 投稿者:真美  投稿日:2012年 4月25日(水)18時10分13秒
  参考に「寿大学」の事をすこし書いておきます

北見市の寿大学はすでに40年の歴史を誇り全国で唯一の老人のための大学です。

4年制で卒業すると博士会に進学しそこも4年です。

総長は市長で事務局は教育委員会ですが・・すべて生徒の自主運営に任されます。

募集人員は一学年100名です
男女の比率は大体2対1くらいで・・総勢300人くらいです、

登校日は週一でまずホームルームから始まり・・講演とクラブで一単位です。

非常に規律を守らされ・・私はそれが良くて参加してますが・不満な人も

居るようです。

広報部 奉仕部 文章部 出席係 班長 クラス委員長 書記 会計 その他

いわゆる高校時代を思い出してください。

研修旅行 運動会 文化祭 修学旅行

忙しいです  課外活動は 同好会が自由に立ち上げられ

カラオケ パソコン 水泳 ゴルフ ボーリング ダンス

どっぷり嵌まると毎日が学校ですが・・私はつかづはなれづというスタンスを

崩さないようにしてます。ロクちゃんの結婚観と同じです