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ある夜の夢・・・白い扉

木々は木の葉を落とし落ち葉が足元に
優しい懐かしいそして淋しい音を奏でる
灰色の中に
黒々と木々の梢が抽象の絵画となり私の心を
止め処ない「まほろば」の世界に誘(いざなう)う
鳥も居ない花も無いしかし無機質でも無い
不思議な空間を私は彷徨っている

黒々とした木々の向こうにぽっかりと白い扉が見えた
たどり着いた私の前のその白い扉は私の終着の駅なのだろうか?
白い扉は私を特別招いても無くまして拒否もしていない
私はその白い扉の向こうに・・
僅かな暖かい灯かりと静かな賛美歌を想像する
優しい世界に違いない!安らぐに違いない!

しかし私はくるりと背を向けた
清らかなまやかし優しさの欺瞞
其処に何があるのか何もないのか
私には判ららない

だから私は此処がいい
腐ったこの落ち葉の中がいい
懐かしいふるさとの匂いが確かにあるから


真美