別離の朝に・・・相聞を歌う
青空に溶けゆく蝶のまばゆさに寂しさつのる羽無き身には・・かすみ
羽なくも思う一念あら不思議天使の翼いつしか芽生え・・・きくこ
駄天使の胸の悲しみ君知るや翼もがれて地平に臥すを・・・かすみ
透明な朝に飛び行く白き蝶我が幻想の果ても白々・・・真美
白々と短き夜の明くる間にうつつに戻すホトトギスの声・・・かすみ
想い出は 霧のごとくに消え去りて迎えし朝の 光眩しき・・・葵花
 一筋の 光見つけて飛びたたん白々と開く 朝を迎えて・・・葵花
思い出を蝶と飛ばせて惜別の緋色の朝に我独りなり・・うたたね
過ぎ去りし日々を白紙の空に描く蝶のクレパス涙紅・・うたたね




フレームへ
幻想の朝 
朝の明けるのを待ちきれず
最後の絵「別離の朝」の製作に入った
北国の春の朝は澄んで心を満たす


思い切り良くカンバスの青い空に
真っ白な蝶を吹き付ける

地平線は赤 
思い出の数々は血の色の赤


吹き付けのガスの匂いが心を鈍らせ想いを断ち切る

空を見上げると薄暗い空がいつのまにか明けている

北国の春は真っ盛り
紺碧の空は迷いを断ち切り抜けるように遠い

見上げる空に
カンバスに描いた白い蝶が飛んでゆく
青い空に迷い無くまっすぐに

限りなく透明に限りなく美しく

「別離の朝」はこうして幻想の中で完成した

2004.5.19  真美