薔薇の館千夜一夜物語・・刺青

三角のカウンターのある店

 投稿者:真美  投稿日:2012年 5月 2日(水)16時32分18秒
編集済
  私の店のカウンターが3角だからかも知れないと・・私は時々デザインした
自分を責めるときがあります。
カウンターに向かって少しずつ角度の違う椅子が6個並んでおりますから・・
お隣の人とは完全に平行とはならず・・また向かい合うという窮屈さも無く
カウンターにいる、私との距離も絶妙に保たれ・・椅子の数も6個という
話題がまとまるちょうどいい数のようです。
カーテンの向うにボックスが五個あり間に小部屋を挟んでいるので死角があり
ます
壁は唐松のアンチークなつくりで展示用にも成っております。
毎月・・アーチストの作品の展示の場所として開放してます。
そんな私の店も前に立っていた市役所が移転して、2年後に日赤がたつまでは
閑古鳥が鳴くでしょう!
大家さんは日赤が立ったら・・このビルを解体して大きなビルにすると張り切ってます。
ビルになっても私はこのままここに居れるとは約束されておりますが・・
しかし この思い出の多い三角のカウンターは、このまま使えるかどうかわからないし・・
やがて壊されるであろうこのカウンターにまつわる思い出の数々を、
書き留めておこうと思って降ります。
真実と私の推察も加え・・あくまでもフイクションとして・・
小編を書いてゆきたいと思います。
 

(無題)

 投稿者:ミカ  投稿日:2012年 5月 4日(金)23時58分31秒
  ようやく、見に来たよ^^w
真美ちゃんのお店のカウンター
ミカは好きだよ。
絶妙な距離感www
たまに、読ませてもらいに来るね^^
 

ありがとう 

 投稿者:真美  投稿日:2012年 5月 5日(土)08時56分30秒
  親友ミカだね
昨日は祭日だったから開店休業だったよ・・だからマイクカラオケで歌の練習してた。

今書いてるのは虚実混ぜ合わせての・・あくまでもフイクションだから誰彼と
モデル探さないでね。

ミカだって登場するかもしれないよ 。  うふふふ くすくす

いたずら好き真美ちゃんだからね、  うふふふ くすくす


 

 投稿者:真美  投稿日:2012年 5月 3日(木)14時08分27秒
編集済
  夜遅く電話が鳴った!

「あの〜今そちらでパステル画の展示が行われていると聞きましたが・・まだやってますか」

閉店間際にかかってきた電話はどこか陰鬱でおどおどとして居るように聞こえた。

「はい ただ今!開催中です」

今日はとても暇な一日だったので、美智子は開店10周年に展示する自分の作品の手直しを

している最中だった。

趣味で初めた美智子の絵は、なかなかと評判がよく、店の10周年を記念に展示する予定であった。

そんな訳で、本当は店など閉めて絵に没頭したいところであっが。

しかし、たじろぐような緊張と不安を感じさせたその声には・・「閉店です!」と

言わせない何かがあった。

美智子は「まだ開店時間に間があるし、断る理由も無しー・・」

自分に言い訳をしながら、その客をまった!


やがて!店の階段を軽快にあがってくる足音とともに年のころ35,6の痩身の

男が入ってきた。

その男を見た!美智子は不意打ちを食らったような、なぜか判らない衝撃を受けたのだった、

しかし流石に、さりげなくコーヒーを出し、客が絵を見終わるのまった。

「素敵なパステルですね」

そういいながら、男はコーヒーをすするように飲んだ!

美智子は自分がなぜこんなに緊張するのかわからなかった。

「あの〜  貴方様もパステルを描かれられるんですか?」

三角のカウンターの一番入り口の隅に座っている男に話しかけた。

「いや〜 大したものではありませんがね〜」

ふと見上げる男の瞳はドキッとするほど澄んでいた。

美智子はその瞳にぶつかるとななぜかドキマギして

「良かったら!私の店に飾って見ませんか?」

「いいんですか? いや〜この街に来たばかりで額縁も何も無いんですがね〜」

「あら よかったら・・私の額縁をお貸ししますわ」

美智子はなぜこんな風に、初めてのお客さんと会話がすすんで 仕舞うのか?

自分でも理解のできないまま・・展示の話がとんとんと決まってしまった!

「では 6月に会場 お借りします」

帰り際に男はおどけたような瞳を私に投げかけてかえって行った

その男の人は
その夜から毎晩同じ時間にきて・同じ椅子に座り・閉店とともに帰りました。

何ヶ月もかかって、やっとわかったのは、

彼の名前とお仕事と、歳が38である事、最近妻と離婚をした事、子供がひとりいる事、

暗いでした。

「へぇ〜 独身なんだ〜」

「よ〜し 私も独身だから 立候補ショウかな?」

冗談とも
、、


三角カウンターの店の中

 投稿者:ロクちゃん  投稿日:2012年 5月 6日(日)15時02分51秒
   三角カウンターに頬杖を付いて聞いていた、ミカがあきれたような顔をして。

「またぁ、美智子たら面食いなんだから」

 もう冷たくなっている飲みかけのコーヒーを一口飲んでから、

「そりゃ、立候補するのは自由ですけどね、後で泣きを見たってあたしゃ

知らないから」

 ミカは突き放すように言った、ミカにしたところで親友の美智子が幸せ

になってくれればそれに越したことはないのだが、恋の駆け引きにウブな

美智子は見ていて危なっかしくて見て居られないのである。

「私だって小娘じゃないんだから、泣きを見る様なヘマはしないわよ」

 そう言ってミカにいたずらぽい、アッカンベーをして見せた、思わず吹き出

しそうになるのを堪えながら。

「それが、小娘の証拠よ」

 ミカにすればそんな憎めないところが好きだった。

薔薇の館  「千夜一夜物語」・刺青

 投稿者:真美  投稿日:2012年 5月 6日(日)16時42分52秒

  実はミカはまだ美智子の岡惚れしてるその男には会ったいませんでしたが・・

若いミカには美智子から聞くその男には好感が持てませんでした。

大好きな美智子ママの心を持ってゆきそうな、その男に嫉妬してるのかもしれない?

美智子は閉店間際になると、そわそわと落ち着かなくなる自分に苦笑するのです。

やれやれ自称恋多き女もダラシナイモノダわ!そんな独り言を言いながら

今夜も彼が来るのを心待ちにするのでした。

とんとん いつもの足音が聞こえた!!

薔薇の館  「千夜一夜物語」・刺青

 投稿者:真美  投稿日:2012年 5月 6日(日)20時43分0秒
編集済
  昼に電球が一つ切れてしまっていたが・・買い置きが見当たらず

そのままのなっていたカウンターは薄暗かった!

「こんばんわ」

暗い店内に黒のシャツで入ってきた彼はまるでメフイストのように陰鬱に

感じられた。

「ごめんなさい!」

「電球が一つ切れるとこんなに暗く感じるのね」

美智子は一人ごとのように言いながら、すくう様に大きな瞳で彼を見た。

彼は少しどぎまぎしながらもーーー

「いやーー これもまた雰囲気があっていいですね」

少しの暗さが彼を大胆にしたのか・・

いつものカウンターの入り口の隅の席にすわり、

ぽつぽつとではあったが、いつもより饒舌に話してくれた。

美智子はこんなに席があるのだから、もっと座りやすい席にと、いつも誘うのだけど・・

彼はこの隅が好きですと、みんなが敬遠するこの席の座るのだった。

客の個性は席の選び方にも表れていて・みんなが落ち着かないと嫌う

この入り口の席を好んで座るお客も何人かいるのです。

大抵はとても忙しい人か(入り口が近いから)

気弱な人か(入ってきた人に背中しか見えないから)です

気が弱くて、遠慮深く、控えめの人が好んで座る席を、なぜ彼は好むのだろう!

美智子はそんな些細なことにも、神経を尖らすほど彼を意識しているのです。


「そんなに愛していらっしゃる奥様となぜ?お別れになったの?」

彼の話は、別かれた妻の自慢話のように聞こえた美智子が話の腰を折った。

「あ〜 失礼!俺!今日はどうかしてるな!」

そういいながら・・

「そういえば・・ワインも置いてあるんでしたよね」

「あら 車は?」

「今日は歩きです」








此処で一服・・続いて書いてくださる方へ

 投稿者:真美  投稿日:2012年 5月 7日(月)07時21分41秒
編集済
  この物語は「刺青」がキーです。

何処でどのようにこのテーマが持ち出されるか、楽しみです!

私の思惑に関係なくどんどん筋を展開してください。

それが「りれー小説」の面白さです

薔薇の館のカウンターの情報

 投稿者:真美  投稿日:2012年 5月 7日(月)12時32分17秒
編集済
  上の写真が彼の好む入り口の席です。

また親分肌の方が好むのは下の写真の左側です・・何しろ入ってくる人に

軽く会釈したり!帰り際にご苦労さん!なんて声までかける人も居たりして!

半分経営者気取りの人が陣取る席で、たまには困ったチャンも居ますから、問題の多い席です。


親友ミカもこの席が好きだよね。
私の大きな絵をバックにミカはいつもお姫様の様に愛らしい!


話は戻ります

「薔薇の館千夜一夜・・刺青」   前から続く


今夜は歩きですという!彼に美智子はただならぬ思いを感じた!

カウンターからワイングラスを取り出して!ワインの注ぐ手が緊張して

幾分震える、

「貴方も一杯!いかがですか?実は今日パチンコが入ってね!」


そろそろ閉店時間だわ、美智子は独り言を言いながら 行灯の灯を消した。


薔薇の館夜話

 投稿者:ロクちゃん  投稿日:2012年 5月 9日(水)15時34分44秒
   行灯の灯を消したとはいえ、まさか鍵までも掛けるわけいかず妙に落ち着か

ない美智子だった、事実これまでも行灯を消して帳簿を付けて帰り支度をして

いる時にいきなり入ってきた常連客もいたりした。

 そんな思いもあって心密かに誰も来ないことを祈っていた、美智子自身はど

んな噂が流れても構わないが、客商売の立場で考えると特定の客と親しくなる

のは褒められたものではないのである。

 そんな思いを知ってか知らずか、彼は美智子のグラスに注ぐと目の高さに挙

げて言葉の無く乾杯の仕草をした、つられて同じ仕草で言葉も無く乾杯をした

 飲めるくちでもなく、酒の味など判らないのに、一口目のワインは乾ききっ

た時の水の様にとても美味しく感じた、少しの沈黙が恐ろしくて。

「まだお名前を伺っていなかったわね」

 とにかく会話の無い時間が息苦しくて他愛のない事を聞いた、彼は残りの

ワインを飲みほしカウンターにグラスを置くと。

「ヒサカ フユジ」

 そう言ってからカウンターのグラスを指差した。

「あら、ごめんなさい、気が利かなくて」

 いつもと違う自分に戸惑いながら、二度ばかりグラスを鳴らして注いだ。

「飛ぶ坂でヒサカ、冬の次でフユジ、親はね冬の次は春が来るって付けた

ようだけど、何時春が来る事やら」

 まだ酔うほどには飲んでいなかったが飛坂はいつもの言葉使いと少し違

っていた、パチンコで儲けた話も嘘だった。

 兎に角話し相手が欲しかった、口実としてパチンコを持ち出したので理由

は何でもよかった、飛坂はこのスナックに来てママと話している時がくつろ

ぎの時間だし、趣味のパステル画の話など時間を忘れさせてくれた。

薔薇の館  「千夜一夜物語」・・刺青

 投稿者:真美  投稿日:2012年 5月 9日(水)16時51分34秒
編集済
  行灯を消した店内はさらに暗くなり、美智子は閉店の機会を逃した事を

後悔しはじめたとき、パタパタと派手な音をさせてミカが階段を上がってきた。

「あら〜 行灯消えるのに電気が付いてるから、あがってきたのよーー

でも お邪魔だったかしら?」

「ううん  大丈夫よ。ミカもワインどうお?」

ミカはじろりと彼を見てから・・

「もう遅いからかえるわ!」

むくれたように帰ろうとするミカに・・彼はつと立ち上がり僕も失礼します。

「飛坂さま! またどうぞいらしてくださいね。それから個展の絵進んでますか?

楽しみにしておりますわ。」

見送りながら・・ミカにまたあかんベー^をして 人の恋路の邪魔をしてと

大きな身振りでぶつなまねをした。

いつもこんな風におだつと大喜びするミカがじっと考えて

薔薇の館  「千夜一夜物語」・・刺青

 投稿者:真美  投稿日:2012年 5月10日(木)17時24分5秒
編集済
  飛坂は捉えられないような寂しさを抱えながら、階段を降りた。

5月の北国の春はまだ寒い!

遠くにネオンが赤く青く瞬いている。

ネオンは若いときの、あの夜を思い出させ、一人の部屋に帰る気に慣れなかった。

近くの公園をふらふらと歩きながら、美智子を感じていた。

美智子の、あの年の似合わぬ愛らしさと、快活さが、飛坂の心を捕らえてしまう!

ずいぶんと明るく全うな人生を歩いてきたのだろうな!

それに引き換え、俺なんか!

ヒサカは自分人生に影を落とした、あの髪の長いあの娘(こ)を思い出した。

あのこに会わなかったら!俺はこんな思いで人生を生きては居なかったろうし!

美智子に対しても堂々と愛を告白できたのだろうに・・・・





薔薇の館 千夜一夜物語

 投稿者:ロクちゃん  投稿日:2012年 5月11日(金)16時59分29秒
  「しっかりしろよ!冬次」

 自分を励ますようにつぶやき、ジャンパーのファスナーを目一杯挙げた薄物

のジャンパーでは寒い五月の夜である、両手はポケットの中で握りしめていた

が指先は何時までも冷えたままだった。

 北国とはいえ皆は春の芽吹き、咲く花に浮かれているのに自分だけ浮かれる

事のない春がつらかった、自業自得ではあるが、妻の新子や息子との別れは今

になって寂しさとなって打ち寄せてきた。

 何かで読んだのか、聞いたのか、人生は何度でもやり直せる、なんて聞いた

が俺には当てはまらないと冬次は思っていた、新子とも何度も衝突したがその

度に仲直り出来たのに、ある時からまるでボタンの掛け違いの様にぎくしゃく

していつの間にか、越えられない河が二人の間に出来ていた。

「しっかりしろよ!冬次」

 また同じ言葉をつぶやいた、それに比べママの快活さはどうだ、客商売

で自分より苦労してるだろうに、それを少しも感じさせない明るさがまぶ

しい程である。

 もしもう一度人生やり直せるなら、美智子となら今度はうまく行くよう

な気がしていた、いや、是非ともそうしたいとさえ思った、目を閉じれば

横顔も正面もいたずらっぽい顔つき笑顔、どんな表情も直ぐに思い出せた。

 甘い思いにふけっている時

「飛坂さん・・でしたよね」

 突然呼ばれて振り返ると、閉店した店に飛び込んで来た、ミカだった。
 

薔薇の館 千夜一夜物語・・刺青

 投稿者:真美  投稿日:2012年 5月12日(土)10時46分11秒
  ミカはぜいぜいとのどを鳴らしながら、追いかけてきたようだ。

「あの〜飛坂さんとおっしゃいましたよね〜」

「あーー 飛坂ですが・・」それがどうしたのかというように振り返った飛坂の顔は

公園のライトがまともにあたり、店で見た気弱な顔とはまるで違う、すさんだ表情だった。

たじろぐように身を引くミカだったが、しかし思いつめて此処まで追いかけてきたのだと

むしろ一歩前にでた。

「飛坂さんはどちらの生まれでしたか?」射るような目で質問したミカの突然の質問に

飛坂は意表をつれて、思わす

「俺の生まれに何か問題でもあるのか?」と切り返えした。


飛坂はこんな小娘に凄んでい自分にうんざりしながら・・

「ところで ミカさんといいましたね。よくわからない質問で失礼しました。」

「ま これも何かの縁ですね!カラオケでも行きませんか?」

柔らかい表情になって!ミカの肩に手をかけた。

その豹変振りに・・・

意気込んできたミカだったけど、飛坂のやさしい表情と肩の手の温かみとで

訳の判らない魔法にかかったような不思議な感覚になった。

ミカはなぜかはにかんで、そそくさと逃げるように帰っていった。

飛坂はミカを誘ったときのあの柔らかい表情のまま、しばらく立ち尽くしていた。

ふ〜うっ ため息を付き、

今夜こそ美智子に打ち明けようと思って居たことを考えていた、


まだ店に居るだろうか?

ミカの状況からも一時も早く自分の口から告白すべきだと、くるりと踵を

返して店に向かった。

美智子は店にまだ居るだろうか?

居てほしい気持ちと・・告白すればもう逢えなく成るかもしれないという不安とで

店の電気が消えてることを願った歩いた。

 

薔薇の館

 投稿者:ロクちゃん  投稿日:2012年 5月13日(日)21時04分13秒
   相反する気持ちのまま店の下に来て見上げると、窓は別世界のような明かりを

映し出していた。

 少し躊躇したが、いずれは話さなければ事だからと踏ん切りをつけて階段を上

がった、ドアーに手を掛けるとまるで待っていたかのようにやすやすと開いた。

「あっ」

 そこに飛坂の姿をみて美智子は驚いて小さく声を出した。

「なっなんですの」

 思いもよらぬ出現に帰り支度の美智子は身構えたまま訪ねた。

「どう思うかは、あんたに判断してほしい話があるんだけど聞いてもらえるかな」

 飛坂はまるで他人事のような口振りで言った。

「もう、閉店だしさっきみたいに誰が入って来るか判らないからここは嫌よ」

 思い込んだ男とどうなろうが構わない気持ちが無いわけでも無いが、それでも

落ち着かない状態では嫌であった。

「別に話さえ出来ればいいのだから、あんたが良ければファストフードの店でどお」

 北国の小さな町に出来たばかりのチェーン店の名前を挙げた。

 美智子の胸は思いがけない今夜の展開に飛坂に聞こえるのではないかと思うほど

強く打っていた。
 

薔薇の館・・美智子

 投稿者:真美  投稿日:2012年 5月14日(月)12時58分13秒
編集済
  明るくて快活でお茶目で・・真夏の太陽のような美智子にも過去はあった。

美智子は、そうあるべきだという!美智子の生きる姿勢は、このような時にも

冷静さを欠かなかった。

「ファーストフードで・・」

美智子は夫を肺がんで亡くしてから、ひとり娘を育てつつ、この小さな

画廊喫茶の経営をしてきた。

当時はゲーム機をテーブル代わりにして、法律すれすれの掛けゲームの上がりで

切り盛りしている店の多い中で、美智子は遺族年金とコーヒーの

売り上げだけで生活してきた。

「恋多き女と呼んでください!」美智子の口癖は、ただの商売言葉!

そんな美智子も飛坂の思いつめて顔に驚いて立ちすくむのでした。

とにかく「ファーストフードで・・」と・・・・その場を切り抜けた。


美智子はその店までの僅かな距離を、並んで歩きながら・・

飛坂の話が、単なる愛の告白ではないような気がした。






薔薇の

 投稿者:ロクちゃん  投稿日:2012年 5月14日(月)16時26分56秒
   大人の男と女が話をするのに相応しい場所とも思えなかったが、外で話込む

にはまだ季節が早かった。

 カウンターでマニュアル通りの受け答えをするアルバイトの店員に注文して

角の席に座ると間もなく運ばれて来たハンバーガ―を頬張った、

「馬鹿にしていたけど、意外に美味しいね」

 そう言いながら飛坂は笑顔で話しかけてきた、美智子もつられて笑顔で頬

張り言葉もなく頷いた、いちどきに女学生時代に戻ったような若やいだ気分

になれた、ミカや娘の事を忘れてこの瞬間の幸せに浸って居たかった。

 食べ終わってナプキンで口の周りを拭き、味も香りも無い薄っすら苦いコ

ーヒーを一口飲み飛坂の言葉を待った。

「後悔先に立たず、なぁんて言葉を知ってるよね」

 何を話そうとしているか判らなかったが、言葉は知っているので頷いた、

それを見てから、ぼそぼそとやっと聞こえる程の声で淡々と話しだした。

「新子、別れた妻の名前だけどね、まだお互いに若かったせいもありその時

は恰好いいなんて思ったり、俺たちは他の奴らとは違うんだと言う思いと、

新子にせがまれて、好きだと言う薔薇の刺青をお互いの左胸に入れたのさ、幸

せなうちは良かったけど、行き違いから別れることになり今となちゃぁとんだ

重荷を背負うことになった訳さ、タトゥーなんて言い換えたて所詮は刺青で消

すことも出来ない代物さ、レーザーだ皮膚移植したって傷跡が本人を捕まえて

離しちゃくれない厄介ものさ、幾ら新子のことを忘れても刺青が忘れさせては

くれないのさ」

 ここで一息つくように冷めてしまったコーヒーを飲み干した。

 抑揚もなくしゃべる飛坂の話を聞きながら、あゝこの人はそんな悩みが暗い

陰を持っているように見えたのね、美智子は納得した思いだった。

「人生は何度でもやり直しが出来るなんて言ったて、それは真っ新な人間さ

そんな人は転んでもつまずいても立ち上がればいいけど、忘れる度に思い出

させる左の薔薇は困ったもんさ」

 それまでは時々美智子の顔を見るだけだったが、今度はしっかりと見詰め

て瞳を逸らすことなく。

「あんたを初めて見た時に、こんなに明るく、楽しい人が居るなんて信じら

れなっかた、言葉を聞いているだけで幸せな気分になれたし、出来ないだろ

うが心の底からやり直したいと思っていたし、あんたはどう思っているかな

んて構わない抱きしめたい衝動さえ覚えて苦しい日もあったよ」

 それだけ言うと飛坂は立ち上がった。

薔薇の館  「千夜一夜物語」・・刺青  

 投稿者:真美  投稿日:2012年 5月14日(月)17時29分57秒
  静かに飛坂の話を聞きながら、美智子は彼の話にはもっと深い訳があると直感していた。

その夜遅く・・ミカから電話があった。

ミカは飛坂の名前をテレビで聞いたように思う!というのだった。

歯にものが詰まったような、ミカの話に美智子の胸は高鳴った!悪い予感だ!

多分 飛坂はもう店には来ないだろう!

そう思うとどうしても、もう一度逢いたいと思うのだった。

眠られずに朝を迎えた頃、出会いの夜の飛坂の澄んだ瞳が思い出された。

美智子は起き抜けに飛坂に電話した。

仮に飛坂に過去があろうとも、私はあの瞳に賭けよう!

電話の向うの飛坂は声を詰まらせ、泣いているようだった!

「ゆべは本当の事と嘘の事、半分づづ話しました。」

美智子さんは代紋って、知ってますか?静子に進められて彫った薔薇の刺青は

ある組の代紋なんです。」

「俺は貴方のような人に恋など出来ないのに、過去など消えないのに・・

貴方が俺の過去を消してくれるような、気がして!女神様が居るような気がして!」

美智子は飛坂にみなまで言わさず。車に飛び乗って、彼の家に向かった!

どんなに過去があろうと、今の彼を信じよう!

あの澄んだ瞳を信じよう!

        終わります


ロクちゃん ありがとう!!

 投稿者:真美  投稿日:2012年 5月14日(月)17時37分35秒
   何とか刺青が出て 無事この物語は終わります

実は開店当時に実際にあったお話をすこしフイクションして、お付き合いしていただきました。

ロクちゃんは私の話の続きを、まるで知ってるかのようにつないでくださいましたね。

薔薇の館 千夜一夜物語! さて どの方をモデルに書こうかと考えてます。

新しい物語が始まりまして、お気に召したらまたお付き合いくださいませ。

本当に楽しかったです。

この作品は いづれまとめてページに上げたいと思います

 



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